森野コーチの事例に見る必要経費①

中日の森野コーチが税務調査で追徴課税になったという話がありましたが、個人事業主の必要経費というのはきちんと理解しておかないと、トラブルの元になります。

森野コーチの裁決事例を読みながらあれこれ考えてみることにします。

 

  • 必要経費って何?

必要経費を法律的に考えると、①原価項目と、②それ以外で事業と関係のある費用、ということになります。

飲食店で言えば、①食材、②店舗の家賃、人件費、光熱費などということになります。

これだけでは何も問題がないのですが、実際には②の事業と関係のあるという部分が非常に厄介です。

 

  • 大前提は証拠を残す

例えば食事をしながら仕事の打ち合わせをすることもあると思います。

ただ、飲食店のレシートだけ見ても仕事なのかプライベートなのかは分かりません。

そのため、「誰と行ったか」、「どのような打ち合わせをしたか」をレシートに書くか、ノートなどに残しておくべきです。

航空券や新幹線などの旅費についても、どこに行って何をしたかを残しておくべきでしょう。

仕事でSNSやブログ、メルマガなどを使っている人は、そこにアップしておくのも証拠の一つになると思います。

 

  • 家事関連費という考え方

例えば店舗兼住宅や、仕事でもプライベートでも使う車など、全部仕事で使ってる訳じゃないけど仕事でも使っている支出って色々とあると思います。

このような支出については、「①業務の遂行上必要であり、②必要である部分を明らかに区分することができる」という前提で、区分した部分を必要経費にするという扱いになっています。

今回の裁決事例を題材にして、一つずつ見て行きましょう。

 

  • 旅費交通費

今回の事例では、ハワイへの渡航費について税務署は家族旅行、森野コーチはトレーニングと真逆の主張になっています。

裁決では「本件旅費交通費は、ハワイを目的地とする家族を伴った旅行の費用と認められる」と 一文でバッサリ切られて終了です。

詳細は分かりませんが、恐らく森野コーチは滞在中のスケジュールなどを残していなかったのでしょう。

仕事と観光を兼ねた渡航であっても、仕事部分を明確に区分していれば、その割合は経費として認められます(仕事に関係ない家族分はNGです)。

対策としては、旅程表を残しておき、仕事の部分とプライベートの部分を区別しておくことがベストだと思います。

 

  • 健康管理費

ここはスポーツ選手など一部の職業に限定される論点ですが、考え方はそれぞれの状況に応用できると思います。

森野コーチは「プロスポーツ選手は厳しいトレーニングを行うため一般成人の2倍以上の栄養摂取を必要とする特殊な職業であり、食事と密接不可分の関係にある」と主張しましたが、こちらもバッサリ切られています。

1日の食事量も多いでしょうし、森野コーチの気持ちは分かりますが、誰でも食事はしますし、仕事の部分を明確に区分することは難しいでしょう。

ただ、サプリメントなどの購入費用はスポーツ選手特有のものとして必要経費として認められる可能性はあると思います。

もう少し突っ込んで考えると、奥さんや子どもが森野コーチと同じ食事をしているとは考えにくいので、森野コーチにだけ作った食材を区分すれば、その部分は必要経費として主張することが出来るかもしれません。

仕事もプライベートもごちゃ混ぜでは厳しい主張になってしまいますので、プライベート部分で使ったものも含めて、両者を区分している証拠を残すことが必要経費を主張する上で重要だと思います。

 

*他の論点もあるので、残りは次回以降も見て行きたいと思います。

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